【街金は見た!】借りる側の論理——他人の不動産を担保にする男《抵当権の順位は問わず貸します!》
【テツクル半生記⑥】あのころ、ぼくは、若かった。
◼︎全財産失っても「カネ貸して!」の人って・・・
Bさんは担保提供の常習犯なんです。定期的にぼくのところへ話を持ってきます。
「ちょっとテツクルさん、聞いてよ!」
「どうしたの?」
「こないだ借りた、よその街金ひどいんだよ! 結局、名義取られちゃってさ!」
「Bさんのものじゃないのにどうするの?」
「まあ、担保提供してくれた人は大丈夫。俺が絶対買い戻すからと宣言してるから」
「買い戻せるの?」
「まあ今度、高尾の2万坪を仕入れて分譲するから、それで返せるよ、大丈夫」
「高尾の山奥分譲して誰が買うんだよ……」
「仕入れるお金、貸してもらえない?」
Bさんは担保提供で借りたお金を、ほかの債務の利払いや生活費にあてて、本業の不動産業の売上げは散々です。
「テツクルさん、ごめん!」
「何?」
「こないだ話した担保提供者、口説けなかったわ! また次探すから!」
そんなBさんですが、ついに担保提供者のネタ切れ。
虎の子だったBさんの自宅もいまではぼくの会社の名義になりました。Bさんは家賃を払って元自宅に住んでいます。
そんなBさん、自宅だけでなく息子や義理の息子の自宅まで、一族郎党の所有不動産を最終的に売ることになったり、ぼくの会社の名義になったりで、すべてを失いました。
Bさん包囲網も最終段階だと思ってました。
でも、あいかわらず電話がきます。
「テツクルさん! いい物件みつけた! 仕入れ資金貸して!」
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いま、NOTEでテツクルさんの漫画絶賛連載中!
【マンガ版】
『ぼく、街金やってます』第4話
IT社長と籠城合戦!(後編)
https://kkbestsellers.net/n/n7abb7c817494
『ぼく、街金やってます: 悲しくもおかしい多重債務者の現実』
著者:テクツル
東京・池袋で街金を営む著者のもとには、さまざまな多重債務者がやってくる。そして返すあてもないまま借金を重ねていく。そんな彼らの、悲しくも爆笑せずにはいられないさまざまなエピソードを面白おかしく、しかし赤裸々に、街金ならではの視点で紹介。
ほかにも、ブローカー、詐欺師、悪徳業者、反社など、日常生活では出会うことのない人々が続々登場。今まであまり語られることのなかった街金コラムも満載。あなたの知らないお金の世界が見えてくる!